コロナ禍に入り、アパレル業界の方と話すことが多くなりました。
小売店から、メーカー、専門商社など、
川下から川上まで色々な話をお聞きします。
僕自身も10年間ほど繊維の業界にいましたから、そのころと比べてどうなのか?
そんなことも考えながらお聞きしています。
そうすると、まったく変わっていないことが見えてきます。
もしかすると、それがアパレル衰退の原因なのではないかと感じるのです。
まったく変わっていないこととは、
「情報と商品が川上から川下に流されていること」
もう少し詳しく言いますと、
アパレル業界は昔っからパリコレが情報の発信源で、
ここから出た情報が世界にわたり、それをカタチにしていくのが商社が素材を集め、
アパレルメーカーが洋服にしていく。
それを仕入れた小売店が消費者へ届ける。
こうして、情報が商品となり、一方的に川上から川下へ流れていく。
洋服はデザイナーの作品であり、
そのデザイナーの作品のファンを創り出すこと。
この考え方とやり方が、僕が働いていた20年以上も前と何も変わっていないのです。
ここが大きなポイントだと感じるのです。
売り手主導は、成長社会では通用します。
が、成熟社会においては買い手主導になる。
買い手=消費者が、いま生活の中でどんなコトに興味や関心があるのか?
反対に、どんな不満や不安、不便なコトを感じているのか?
消費者の中にある「コト」に目を向けて、
その「コト」に対して洋服ができることを考えてみる。
情報は、川上から流すものではなく、
川下(消費者)から引き出すことが大切になる。
この根本的な視点が変わると、まだまだアパレル業界は活性化する。
もちろん、この考え方はアパレル業界だけではありません。
住宅メーカーも、設計士が作品をつくり、消費者に押し付けてしまうと厳しくなる。
飲食店も、料理人が自分の技術だけでメニューをつくりだすと難しくなる。
家電メーカーだって同じです。技術だけを駆使して商品をつくっても
「それ、ほんとに欲しいの?」と思うものは売れません。
商売は、コミュニケーションです。
コミュニケーションがとれている状態とは、分かち合えている状態です。
いまの時代、分かち合うためには売り手の主張よりも、買い手への協調です。
売り手主導のコミュニケーションから、買い手に寄り添うコミュニケーションへ
情報の取り方を一度見直してみる。
きっと、それが突破口になると信じています。
僕自身も、洋服も好きで、繊維の業界に関わていたので、
アパレル業界の活性化をすごく望んでいます!!
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