
自分たちの商品やサービスがいかに優れているか。
他社と比べてどこが画期的なのか。
私たちはついつい、熱心に「説明」してしまいます。
もちろん、間違いではありません。しかし、残念ながら「説明」だけでは、今の時代のお客様の心は動きません。
売れている会社、長く愛されている会社が大切にしているのは、巧みな説明ではなく、お客様との間にある「共感」です。
「説明」とは、機能、価格、スペックといった「事実」を伝える行為です。
お客様はそれを受けて「なるほど、正しいですね」と頭(左脳)で理解します。しかし、「正しい」からといって「欲しい」とは限りません。
一方で「共感」とは、お客様が抱えている悩み、不安、あるいは「こうなりたい」という願いに、企業の視点を寄り添わせる行為です。
お客様が「あ、この会社は私のことを分かってくれている」と感じたとき、感情(右脳)が動き、初めて「ここにお願いしよう」という決断が下されます。
人は「論理」で納得し、「感情」で動く生き物だからです。
共感を作るためには、自社の凄さを語る前に、お客様の「日常」にスポットライトを当てる必要があります。
説明: 「この断熱材は、業界最高水準の熱貫流率を誇ります」
共感: 「冬の朝、布団から出るのが辛い……そんなストレスをなくして、家族で温かい朝食を囲んでほしいんです」
どちらが、お客様の心にスッと入っていくでしょうか?
後者は、断熱材という「モノ」を売っているのではなく、「寒い朝の辛さへの共感」と「温かい家族の時間」という「コト」を売っています。
自分たちの技術が、お客様のどんな「不便」や「不満」を解消するために存在しているのか。その「動機」の部分を語ることで、お客様との間に共感の架け橋がかかります。
ここで、シリーズ③でお話ししたAIの話を思い出してください。
商品のスペックや機能の「説明」なら、これからはAIの方が遥かに正確で分かりやすく行えるようになります。
しかし、AIにできないことがあります。
それは、お客様の痛みに寄り添い、「わかります、大変ですよね」と心から共感すること。そして、自社の苦労や失敗、そこから生まれた情熱を「物語」として語ることです。
「説明」がコモディティ化(どこでも手に入るもの)していく時代において、会社が持つ独自の「想い」や「顧客への共感」は、決してコピーできない最強の差別化要因になります。
お客様が探しているのは、完璧な説明をしてくれる「先生」のような会社ではなく、自分の悩みを理解し、一緒に解決へと歩んでくれる「味方」のような会社です。
発信の内容を、少しだけ「説明」から「共感」へシフトしてみてください。
自社の自慢話をするのをやめて、お客様が日々感じていること、大切にしていることに言葉を尽くしてみてください。
その時、あなたの会社は「数ある選択肢の一つ」から、「私のための特別な存在」へと変わっていくはずです。
次回は、その共感をさらに深めるための意外な視点、「なぜ今、“強み”を語るほど伝わらなくなるのか?」というお話をします。
あなたの会社の発信は、お客様を「説得」しようとしていませんか?
その言葉の中に、お客様が「そう、それが言いたかったんだ!」と膝を打つような共感のポイントはありますか?
