
多くの経営者が「わが社の強みは何だろう?」と頭を悩ませます。そして、必死に見つけ出したその強みを、ホームページやSNSで力強く発信します。
「地域No.1の施工実績!」
「最新の設備による高精度な加工!」
「創業100年、守り続けてきた伝統の味!」
しかし、こうした「強み」を声高に語れば語るほど、皮肉なことにお客様の心は離れ、情報は素通りされてしまう……。今、そんな現象が至る所で起きています。
なぜ、良かれと思って伝えている「強み」が、伝わらないどころか壁になってしまうのか。その答えは、発信の「起点」が間違っているからです。
最大の理由は、「強み」を語る時の主語が、お客様ではなく「わが社」になっているからです。これを私は「自分起点(自社起点)」の発信と呼んでいます。
お客様がスマホを眺めているとき、その心にあるのは「自分の悩み」や「こうなりたい未来」のことだけです。そこにいきなり「わが社の技術力は!」と割り込まれても、それはお客様にとって「関係のない自慢話」に聞こえてしまいます。
「凄いのは分かったけど、それで私はどうなるの?」
この問いに答えていない強みは、どれだけ立派でも、ただのノイズになってしまうのです。
ここで大切になるのが、マーケティングでよく言われる「顧客視点」……ではなく、そのさらに奥にある「顧客起点」という考え方です。
顧客視点: 「お客様から見て、わが社はどう映っているか?」と、鏡を見るように自分たちをチェックすること。
顧客起点: 「お客様の悩み、お客様の日常、お客様の不満」をすべての出発点(起点)にすること。
「わが社にはこんな強みがある。これをどうお客様に伝えようか?」と考えるのは、まだ「自分起点」です。
そうではなく、「あのお客様は今、何に困っているのか? その解決のために、わが社のどのリソースが役に立つだろうか?」と考える。
この、思考のスタート地点を180度入れ替えることこそが「顧客起点」であり、私が提唱し続けている「コト売り」の真髄なのです。
「顧客起点」で考えると、これまで「強み」だと思っていたものの見え方が変わります。
自分起点の強み: 「24時間365日、即対応!」(スペックの提示)
顧客起点の価値: 「夜中に突然トラブルが起きてパニックになっているお客様を、15分で安心に変えること」(体験の提示)
前者は単なる「自社の特徴」ですが、後者はお客様の人生という物語の中に寄り添った「コト(価値)」になっています。
強みを誇示するのをやめて、お客様の困りごとを起点に、自分たちの力を「お役立ちの形」へと翻訳する。この翻訳作業こそが、伝わらない壁を打ち破る唯一の方法です。
「強みを語らなきゃ」と思っているうちは、どこか他社との比較や競争に意識が向いてしまいます。しかし、「顧客起点」に立ち、目の前のお客様をどう喜ばせるかに集中すると、商売はもっとシンプルで、もっと楽しいものに変わります。
自慢話はやめましょう。
その代わりに、お客様の「不便・不満・不安」を起点に、あなたの会社ができる「コト」を、誠実な言葉で積み重ねていくのです。
あなたの会社の発信は、「わが社の自慢」から始まっていますか?
それとも、「お客様の悩み」から始まっていますか?
思考の「起点」を入れ替えるだけで、届く言葉は劇的に変わります。

この次には「顧客起点」をさらに具体化するステップ
「何を売るか」より「誰に、どんなコトができるか」が問われる時代へ
そして、最後に
顧客起点で一度すべてを見直し、言語化する
に続いていきます。
この2つの部分は今後、講演や書籍など
ブログとは別のカタチでお伝えしていくことにしたいと思います。