
「とにかく今はSNSをやらないと!」
そう意気込んで、InstagramやX(旧Twitter)のアカウントを作り、毎日必死に投稿を続けている。でも、なかなか成果に繋がらない……。
そんな方に、まず一度スマホを置いて、考えてみてほしいことがあります。
それは、「今、お客様の心の中に、あなたの会社はどんな存在として置かれているか?」という問いです。
SNSを「頑張る」前に、この答えが明確になっていないと、どんなに発信を続けても、それは砂漠に水をまくようなものになってしまいます。
多くの人が、SNSを「何者でもない自分たちを、何者かに変えてくれる魔法」だと思いがちです。しかし、SNSの正体はあくまで「拡声器」です。
拡声器は、元々ある「声(会社のあり方や価値)」を大きくして遠くへ届けるための道具に過ぎません。
もし、もとの声が小さかったり、何を言っているか分からなかったり、あるいは「売り込み」の言葉しかなかったとしたら……。拡声器を使えば使うほど、周りには「不快なノイズ」が大きく響き渡るだけになってしまいます。
大切なのは、「どう発信するか」という拡声器の使い方の前に、「何を拡声するのか」という、お客様の中にあるあなたの会社の存在理由なのです。
お客様があなたの会社を思い浮かべるとき、そこには必ず「意味」がセットになっています。
「あそこは、ちょっと高いけど絶対に失敗したくない時に頼む会社だ」
「あそこは、こちらの言葉にできない要望を汲み取ってくれるパートナーだ」
「あそこは、製品だけでなく働くスタッフの活気をもらえる場所だ」
これが「顧客起点」で見たときの、あなたの会社の正体です。
お客様があなたを「〇〇な存在」として認識してくれている。その「指定席」がどこなのかを知らずにSNSを頑張っても、お客様の心には届きません。
ここで、「コト売り」の視点が必要になります。
会社側が「うちは最新設備を持つ製造業です(モノ視点)」と発信していても、お客様が「あそこは無理難題を面白がって解決してくれる集団(コト視点)」だと思っていたら、発信の内容は噛み合いません。
SNSを頑張る前にすべきなのは、新規客を追いかけることではなく、今のお客様が「なぜ、わが社を選び続けてくれているのか」を深く知ることです。
その「選ばれている理由」こそが、SNSで拡声すべき情報の正体です。
お客様がすでに感じてくれている価値(コト)を、まだ出会っていない未来のお客様にも伝わる言葉に翻訳していく。それが、本来のSNS運用のあり方なのです。
SNSは、自分たちを「よく見せる」ための道具ではありません。
お客様の心に映っている「本当の自社の価値」を、素直に、そして丁寧に分かち合うための場所です。
「頑張っているのに伝わらない」と感じるなら、それは発信の量が足りないのではありません。お客様の心の中に、自社がどう存在しているかという「解像度」が低いだけかもしれません。
では、その存在を「選ばれる理由」へと変えていくために、具体的に何を伝えていけばいいのか?
次回は、お客様を動かす感情の核、「売れる会社は、なぜ“説明”より“共感”をつくるのか?」についてお話しします。
お客様に、「あなたの会社を一言で表すと?」と聞いたとき、
どんな温かい言葉が返ってくるでしょうか。
その言葉の中にこそ、あなたがSNSで語るべき「答え」が眠っています。
