
~お客様は「知る」ことに困らなくなった~
この10年で、商売を取り巻く環境は大きく変わったのを実感します。
では、何がどう変わったのか?
2016年頃を思い返すと、多くの会社やお店にとって大切だったのは、まず「知ってもらうこと」でした。
まず存在を知ってもらわなければ、選ばれることはありません。
だから、
そこに力を入れることは、とても大切なことでした。

もちろん、それは今も変わりません。
知られていなければ、選ばれることはないからです。
でも、この10年で大きく変わったことがあります。
それは、お客様が「知ること」に困らなくなったということです。
今は、スマートフォンを開けば、すぐに情報が出てきます。
Googleで検索すれば、いくつもの会社が出てきます。
Instagramを見れば、商品やお店の雰囲気が分かります。
YouTubeを見れば、使い方や体験談まで見ることができます。
口コミサイトを見れば、実際に利用した人の声も確認できます。
そして今では、AIに聞けば、情報を整理して候補まで出してくれるようになりました。

つまり、お客様は「知らない」から困っているのではありません。
むしろ、知ることは簡単になりました。
情報は、いくらでも手に入るようになりました。
その結果、お客様の中に新しい迷いが生まれているのです。
それは、「どれを信じればいいのか分からない」という迷いです。
情報が少なかった時代は、知ってもらうことに大きな価値がありました。
でも、情報が多すぎる時代になると、ただ知ってもらうだけでは足りません。
見つけてもらっても、すぐに比較されます。
目に留まっても、すぐに忘れられます。
良さそうに見えても、「本当にそうなのかな?」と確認されます。
そして、お客様は、以前よりも慎重になっています。
なぜなら、情報が増えた分、良く見えるものも増えたからです。
これらは、以前よりも簡単につくれるようになりました。
AIを使えば、文章も整います。
デザインツールを使えば、見た目も整います。
誰でも、ある程度「良さそう」に見せられる時代になりました。
だからこそ、お客様は感じています。

つまり、これからの商売に必要なのは、ただ目立つことではありません。
知ってもらうことの先に、信じてもらう理由があるかどうかです。
では、お客様は何を見て信じるのでしょうか。
それは、商品の説明だけではありません。
価格の安さだけでもありません。
機能の良さだけでもありません。
お客様は、その会社やお店の普段を見ています。
そういうところを、無意識に見ています。
そして、
と感じたときに、初めて選ぶ理由が生まれます。
ここに、コト売りの大切さがあります。
コト売りは、モノを売らないという意味ではありません。
商品を説明しないという意味でもありません。
商品を通して、
そこを伝えていく考え方です。
たとえば、花を売っているお店なら、花そのものを伝えるだけではありません。
だけではなく、

というように、その先にあるお客様の時間や気持ちを伝える。
それがコト売りです。
リフォーム会社であれば、工事内容や価格だけではなく、
「この家で、これからどんな暮らしをしたいのか」
「家族がどんな時間を過ごせるようになるのか」
「今ある不安や不便を、どう安心に変えられるのか」

そこに向き合う。
介護施設であれば、設備やサービスだけではなく、
「その人が、その人らしく過ごせるために何を大切にしているのか」
「ご家族が安心できる関わり方とは何か」
「働くスタッフが、どんな思いで人に向き合っているのか」

そこを伝える。
そうすると、お客様は商品やサービスだけを見ているのではなくなります。
その奥にある姿勢を見ます。
考え方を見ます。
人を見ます。
そして、その積み重ねが信頼になります。
この10年で、知ってもらう手段は大きく増えました。
でも、どれだけ手段が増えても、最後に問われることは変わりません。
です。
だから、これからの商売は、知ってもらう努力だけでは足りません。
知ってもらった後に、信じてもらえる言葉があるか。
信じてもらえる行動があるか。
信じてもらえる積み重ねがあるか。
そこが問われます。
たくさんの人に知ってもらうことも大切です。
でも、それ以上に大切なのは、知ってくれた人の中に、どんな印象が残るかです。
だけで終わるのか。
それとも、
と思ってもらえるのか。
この違いが、これからの選ばれる理由になります。
知ってもらう時代から、信じてもらう時代へ。
これは、単に発信の方法を変えるという話ではありません。
商売の姿勢そのものが見られる時代になった、ということです。
どんな商品を扱っているか。
どんなサービスを提供しているか。
それももちろん大切です。
でも、それ以上に、
そこを丁寧に伝えていくことが、信頼につながります。
そして、その信頼の積み重ねが、これからの売上をつくっていくのだと思います。
時代は大きく変わります。
でも、人が人を信じて選ぶという本質は、変わっていません。
むしろ、情報が増えた今だからこそ、
その本質が、より大切になっているのです。