
前回、これからは「知ってもらう競争」ではなく「信じてもらう競争」になるとお伝えしました。では、会社として信じてもらうための第一歩は何か?
それは、お客様に自社のことを「ちゃんと認識してもらう」ことです。
「認知」と「認識」。
似たような言葉ですが、ビジネスにおいてはその後の成約率やLTV(顧客生涯価値)に決定的な差を生みます。
「認知」とは、いわば「社名を聞いたことがある」「ロゴを見たことがある」という状態です。もちろん、知られていないよりは良いのですが、今の時代、それだけでは「選ばれる理由」にはなりません。
例えば、あなたがオフィス街を歩いていて「あそこに印刷会社があるな」と気づいたとします。これが「認知」です。
しかし、いざ自社のパンフレットを新調しようと考えたとき、その会社にすぐ発注しようと思うでしょうか?
おそらく多くの方は、まずネットで「パンフレット制作 企画」などで検索し直すはずです。
なぜなら、「会社が存在すること」は知っていても、「その会社が何に長けているのか」を認識していないからです。
一方で「認識」とは、お客様がその会社を「自社の〇〇という課題を解決してくれる専門組織」として、頭の中の専用の引き出しに分類してくれている状態を指します。
単なる「事務機器販売」ではなく、「社内のペーパーレス化を、現場の抵抗なく進めてくれるパートナー」
単なる「建設会社」ではなく、「築50年の工場を、稼働を止めずにリノベーションできる技術集団」
単なる「食品メーカー」ではなく、「地元の食材を使って、SDGsに貢献する手土産を開発できる会社」
このように、「業種」という広い括りを超えて「どのような価値を提供し、どんな変化をもたらす組織か」が明確に伝わっている状態。これが「会社がちゃんと認識される」ということです。
理由はシンプルです。
今の時代、お客様は「何を買うか」の前に、「どの会社に任せるのが正解か」を必死に探しているからです。
情報の海の中では、「〇〇業」という一般的な看板は景色の一部として見過ごされます。でも、「この課題なら、あの会社だ」という独自の認識(ポジション)が確立されていれば、お客様は迷わずその会社を指名します。
つまり、「認知」は社名の露出量を増やす活動ですが、「認識」は社名の意味を定義する活動なのです。
「もっと広告を打って社名を広めれば、売れるはずだ」
そう信じて予算を投じ、露出を増やす。しかし、その会社が「何のための存在か」という定義(認識)が曖昧なまま露出だけを広げると、どうなるか?
「名前は知っているけれど、自社には関係ない会社」という認識を、大量に作ってしまうことになります。これは非常にもったいない投資です。
大切なのは、広める前に「どのような解決策を持つ会社として認識されたいか」を研ぎ澄ますこと。
「わが社は、お客様のどんな不満や不便を解消する『専門チーム』なのか?」
その定義が定まったとき、会社の発信は初めて、お客様の「検討リスト」という名の引き出しに届くようになります。
次回は、これらを踏まえた「頑張っているのに届かない」という現象の正体、「『発信しているのに伝わらない』の正体」について詳しくお伝えします。
あなたの会社は、お客様の頭の中にある「何の解決策」という引き出しに
収納されているでしょうか?
